2 歴史発見!
国前寺の西側、ここに番神社があった!
護法神社前にある手水鉢を採拓すると、番神堂とあった
広島市東区の国前寺(こくぜんじ)は日蓮宗のお寺です。日蓮宗の寺では三十番神を祀ります。三十番神とは、本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)で、法華経を30日間交替で守るとされる三十の神々のことです。
過日、国前寺墓所の脇にある護法神社の右手前にある手水鉢が古風なので、拓本をとって調べたところ、この手水鉢は番神社のもので、寛文11年(1671)に寄進されたことがわかりました。番神社が、境内のどこかにあったのです。
ちょうど、神社の隣の方が出て来られ、興味深く採拓作業を見ておられたので、番神社のことを尋ねたところ、子供の頃、番神さんが現在駐車場の木が立っているあたりにあったが、原爆でなくなったとのことです。また、護法神社にある石鳥居(寛文11年)も番神さんの前にあったといいます。
やはり、国前寺の番神社があったことが、手水鉢で証明されました。ところで、三十番神はどうなったのでしょうか。後日、住職にお尋ねしたところ、三十番神は庫裏に保管してあるとのことです。なお、三次の妙栄寺には、三十番神が揃っています(写真参照)。国前寺は、広島浅野2代藩主光晟(みつあきら)の夫人(自昌院)の発願によって、寛文11年に寄進建立された年に、番神社も建立されたことがわかりました。
妙栄寺の三十番神